富士山登山 注意点

【富士登山初心者必読!】富士山登山の注意点まとめ《7選》

富士山

 

富士山の登山は標高3,000メートルを超える世界へ足を踏み入れること。歩き方ひとつとっても、普段の道を歩くのとは違う、山登りに適した歩き方があります。

 

天候の急変といった自然の脅威も山には潜んでいますし、高所ならではの体の変調にも注意を払わなければいけません。

 

ここではそうした富士山登山の注意点をまとめました。登山の前にひと通り目を通していただき、万全の備えをして本番にのぞみましょう。

 

富士山登山のおすすめの時期〜狙いはウィークデー!

カレンダー

 

例年、富士山の山開きは7月上旬から9月上旬までの2ヶ月ほどの間。この間は各登山ルートへの登山バスが運行され、またルート上の山小屋も営業されます。一般的にはこの2ヶ月間が富士山登山の最適期だと言えます。

 

ただ、30万人にも上る登山者が2ヶ月間という短い期間に訪れるため、特に登山者が集中する梅雨明け以降の毎週末とお盆は、山小屋や登山道が混雑します。

 

環境省関東地方環境事務所 箱根自然環境事務所が発表した「平成29年夏期の富士山登山者数について(お知らせ)」によると、平成29年の1日あたりの登山者数が多かった日は、

 

1位:8月13日(日) 8,201人
2位:8月  5日(土) 7,608人
3位:8月12日(土) 7,553人
4位:8月26日(土) 7,327人
5位:7月15日(土) 7,143人

 

と、1位はお盆の時期の日曜日、2〜5位までは7月・8月の土曜日が独占しています。

 

また休日および平日の富士山の登山者数平均は、平日3,323人に対し土日祝日は5,959人・平日比179%となっています。

 

こうした数字から考えると、お盆以外のウィークデーが富士山登山のおすすめの時期だと言えるでしょう。

 

山開き以外の時期でも富士登山はできますが、山小屋の営業もなく雪に覆われた富士山は上級登山者でも遭難や死亡事故が起こる世界。富士登山初心者は絶対に立ち入らないようにしましょう。

バテない歩き方〜山の歩き方にはコツがある!

富士登山をする人々

 

登山時の上手な歩き方

歩き始める前に足にマメができるのを防ぐために、登山靴を履くときは靴下にシワ・タルミができないように注意します。靴ひもはつま先の方から順に締めますが、登りでは靴の上部は緩めでも大丈夫です。

 

富士山の登山では、街中を歩くような感覚で歩くとすぐに息切れしてバテてしまいます。登山時の上手な歩き方のコツは、ちょっと遅すぎるかなと思うくらいのペースで意識的にゆっくり歩くことです。

 

「普段の半分以下のスピード」、「亀のように歩く」等、色々な言い方をされますが、目安は同行者と楽に話をしながら歩ける速さ。同行者がいない時は、呼吸が乱れない、心臓が高鳴らないペースです。

 

そして足の運び方は、これも意識的に歩幅を小さくして小股で静かに、一定のリズムで歩くようにしましょう。またかかとからではなく靴底全体で地面に着地するようにします。

 

富士山の登山道は砂や小石のザラザラとした斜面ですが、小股で歩くことで足が滑りにくく体も安定します。

 

段差のある岩場でも同様で、高いところではなく膝下以下の位置に足場を見つけて細かくステップを刻むように登りましょう。

 

下山時の上手な歩き方

登りよりも下りの方が足への負荷は大きくなります。靴ひもはつま先と足首の部分をしっかりと締め上げましょう。こうすることで歩行中の安定感が増します。

 

歩き方は登りと同様小股が原則。前のめりにならないように体を起こし、またかかとから着地するとスリップしやすくなるので、靴の裏全体を地面に押し付けるように歩きます。

 

ストックも積極的に使いましょう。長さをやや長めにして、体の前方に突くようにしてバランスを取りながら小股でリズミカルに歩くようにします。

 

御殿場ルートの大砂走りや須走ルートの砂走りでは、砂ぼこり対策として足首にはスパッツ、口にはマスク、目にはゴーグルを着用すると良いですね。

休憩・水分補給・トイレのタイミング〜早め早めが大切!

富士登山をする山ガール

 

休憩はバテる前にとることが大切。登りでは30分〜40分に1回、下りは50分〜1時間に1回を目安に、5〜10分程度の休憩を取りましょう。

 

あまり長すぎる休憩は、せっかく暖まった体を冷やしてしまうことになるのでよくありません。休憩中に首・肩・腕・脚のストレッチをして体を冷やさないようにするのも良いですね。

 

歩いていて呼吸が乱れたりした時には、立ち止まって1〜2分の休憩を取って呼吸を整えるとともに、水分補給をするなどして体を休ませましょう。

 

休憩場所は落石の危険性がないところを選ぶことが大切。また他の登山者の邪魔にならないようにやや広い場所を選びましょう。ただし、休憩のために登山道を外れるのはNGですよ。

 

水分補給ものどが渇いたと感じる前にするのがポイント。のどが渇いたと感じた時はすでに体内の水分が不足している状態です。休憩の度に意識して水を飲むようにしましょう。

 

一度に水分をたくさん取るとトイレが近くなりますが、少しずつこまめに摂取していれば汗になって出ていくので、それほどトイレの心配をすることはありません。

 

また汗をかくと水分の他、ナトリウムなどのミネラル分も失われます。ミネラル分を補給するためにはスポーツドリンクや塩飴などが効果的です。

 

富士山のトイレは非常に混雑することがあります。特に山頂のトイレはご来光直後の時間帯に混雑のピークを迎えます。トイレの利用は計画的にするようにしましょう。非常用として携帯トイレを持参するのもいいですね。

 

下山ルートにはトイレが少ないので、山頂で用を済ませておきましょう。またトイレは山小屋の指示や、トイレ内に書いてあるルールに従って利用することが大切です。

雨・雷への対応〜天候変化には敏感に!

富士山にかかる雨雲

 

山の天候が急変することはよくあること。雨が降ってきた時には、すぐにレインウェアを着て体を濡らさないようにします。

 

また樹林帯がほとんどない富士山の登山道で雷が起きると非常に危険です。登山中に雷鳴が聞こえ出したら、早めに山小屋へ避難することが重要です。

 

もし近くに山小屋がない場所で雷が鳴りだしたら、低姿勢で少しでも低い場所に避難します。傘をさすのは厳禁、金剛状やストックを立てるのもNGです。

 

グループで登山している場合は全員が被雷するのを避けるために、固まらずに距離を置いて逃げるようにします。

 

富士山の天気予報については、登山予定日の1週間ぐらい前からチェックするようにし、悪天候の場合は無理をせず登山を中止する勇気も必要ですよ。

 

富士山の天気:日本気象協会    

富士山山頂の天気:日本気象(株)

山小屋での過ごし方〜山小屋はホテルではない!

富士山五合目の山小屋

 

富士山の山小屋はきわめて特殊な環境に立地しているため、非常に質素な作りで風呂はもちろん洗面用の水もないのが一般的です。

 

登山でかいた汗を拭くのにはウェットティッシュがあると便利です。日焼け止めクリームを落とすには、化粧落とし用のウェットティッシュがあると良いですね。

 

寝室は広間の相部屋で男女一緒の雑魚寝が基本。布団や寝袋はありますが、たいていは登山の服装のまま就寝します。耳栓やアイマスクがあると周りを気にせず休むことができますよ。

 

就寝時はヘッドランプ、貴重品、水を枕元に置いておきます。睡眠中も随時水の補給をし、ヘッドランプは消灯後にトイレに行く際などに使います。

 

高山病は睡眠中に進行しやすいので飲酒は控え、睡眠導入剤は飲まないようにしましょう。また脱水症状にならないように、山小屋でも水分を多めに摂取するように心がけましょう。翌日に必要な水(ペットボトル)も山小屋で購入しておきます。

 

山小屋では騒いだり寝床でのおしゃべりは厳禁。携帯電話はマナーモードにするか電源を切っておきましょう。

 

部屋の中では禁煙。外に出て吸う場合も必ず携帯灰皿を用意し、吸い殻は必ず持ち帰りましょう。また自分のゴミは必ず持って帰るのが原則です。ビニール袋などに入れて持ち帰りましょう。

高山病対策〜富士登山で最も多いアクシデント!

高山病にかかった人

 

富士山の登山で最も多いアクシデントは高山病です。

 

高山病というのは標高が高くなることで気圧が下がり、また酸素濃度が低下することで引き起こされる体の変調のこと。

 

2,500m以上の標高で発症すると言われていて、富士山の場合は六〜七合目以上に該当します。ただし、体調や体質によっては五合目でも起こりうるものです。つまり富士山では常に高山病に対する注意が必要だということなんですね。

 

高山病は急性高山病から高地肺水腫、高地脳浮腫と進行します。高地肺水腫・高地脳浮腫は重篤な症状であるため、これを防ぐためには素早い判断と対応が必要になります。

 

高山病の初期症状は、ねむけ、ボーっとする、高揚といった酒に酔った時の症状に似ています(山酔いと言います)。こうした初期症状に続いて頭痛、消化器症状(食欲不振、吐き気、嘔吐)、倦怠感または虚脱感、めまいまたはもうろう感、睡眠障害などが現れます。

 

初期症状は睡眠不足や疲れなどの症状とも似ているため見逃しがちですが、こうした症状が現れたら高山病の初期症状を疑うことが重要です。

 

高山病の予防

高山病の予防で重要なポイントは、

  • 高度に体をしっかり慣らす。
  • 酸素を十分に体の中に取り込む。
  • 適切な水分補給。

の3つです。

 

まず体を高所の環境にゆっくり慣らしていくことが第一。五合目では最低30分、できれば1時間〜2時間かけて高所順応してから登り始めましょう。また「バテない歩き方」のところで書いた「意識的にゆっくり歩く」ということは高山病対策にもつながります。

 

歩きながら10分おきに深呼吸をするなど、意識して酸素を十分に取り入れるように呼吸をしましょう。呼吸が乱れたらゆっくり大きな深呼吸で呼吸を整えるようにします。タバコは厳禁。適切な水分補給は上で述べた通りですね。

 

他にも登山前夜は十分な睡眠をとり、体調を万全にするように心がけることも大切です。

 

高山病の症状が出た時の対処法

まず休憩して水分補給と深い呼吸をします。呼吸法には「努力呼吸」、「有圧呼吸法」などがあります。

 

努力呼吸

「30cm先のロウソクの火を3秒かけて吹き消す」要領で呼吸を繰り返す。

 

 

有圧呼吸法

大きく息を吸い込み、2秒ほど呼吸を止めるとともに胸に圧力をかけるように力を入れた後、ゆっくり口から吸い込んだ空気を出す。これを5〜6回繰り返す。

 

高山病は高度を下げることが最良の治療方法です。休憩しても症状がおさまらない時は速やかに下山しましょう。

富士登山のルールとマナー〜基本は一般常識と同じ!

朝焼けの富士山

 

法律で禁止されている行為
  • 動植物の採取禁止
  • 溶岩や石の持ち出し禁止
  • 落書きの禁止
  • テント設営やたき火の禁止
  • ペット等の放し飼い禁止

自然公園法

文化財保護法

 

富士山カントリーコード
  • 美しい富士山を後世に引き継ぐ
  • ゴミは絶対捨てずに、すべて持ち帰る
  • ゴミになるようなものを最初から持っていかない
  • 登山道をはずれて歩かない
  • 登頂記念の落書きをしない
  • 車道外へ車両等を乗り入れない
  • 溶岩樹型等の特殊地形を壊さない
  • 駐車場ではアイドリングをしない
  • 動植物を採らない
  • トイレなど公共施設をきれいに使う

富士山カントリーコードについて

 

登山のマナー
  • 登山道は登りが優先
  • 無理な追い越しはしない
  • 落石を起こさない。落石を起こしたら大声でまわりに知らせる
  • ケガ人や助けを求めている人がいたら、救助に協力する
  • ストックの先端にはキャップを
  • 山小屋前の休憩は静かに
  • 鳥獣の巣を見ても近づかない

 

登山のマナーと言っても基本は一般常識と同じ。人と会ったら挨拶をする、ゴミはすべて持ち帰る、登山道や動植物にダメージを与えない等、自然に対しても人に対しても思いやりを持って接することが大切です。

 

 

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